2015年9月の句
案山子(かかし)
亡き妻に似て古里の案山子かな
アオ
原句は少し変えましたが、これで田畑の仕事を共にした亡妻への詠になり、また帰郷の折りに眺める案山子も妻に似て懐かしく思えます。今では案山子祭などあり、人かと思うほど良く出来ていて父母なども懐かしい。
呆けゆける我が身も恐し案山子かな
カート
案山子は農作物を鳥獣害から護るため人形や悪臭のする獣肉などを吊るしたので嗅しとも言った。また役立たぬ者の例えにも言い、この詠の様に呆ける身も同じかも。案山子を見て我が身を思う哀れを込めた俳諧のしみじみした句で私も老いを思います。
農夫より洒落の服着む案山子かな
イシダ
昔はボロ着が定番であったが今は派手な服やスタイルの可愛いのやお色気のもある、かえって農夫の方が地味だがそれは戦後七十年を経て豊になった証でもあり世の移りを思う句でもあります。
童謡を思い出したる案山子かな
ヒロ
文部省唱歌の案山子は明治四十四年、詩武笠三、曲山田源一郎による歌で少し揶揄の面もあるが懐かしい。安山子を見て口ずさんだのかも。子の日を偲ぶ句です。
流行のファッション案山子も若きかな
オノ
時代も変わり今では観光を兼ねて案山子祭りなどあり農村の道辺を楽しませる。流行の若いキャラクターの案山子が並ぶ。楽しい旅を彷彿する句です。
お蔭さま案山子に感謝今日の飯
コバ
案山子は少し小馬鹿にされたりするが古来神の依代であり愛嬌の人気者でもある、里の田畑に立つだけで心が和む。それに感謝の一句でもあります。
古里に案山子見し日も遥かかな
大友
今国政でも地方再生が言われているが村や町が無くなる県も多く皆都会へ出て行く。そして父母などが亡くなると帰省もしなくなる、故郷を恋しいく懐かしむ句でもあります。
今時の田畑の案山子フナッシー
ビリー
ユルキャラにも人気不人気があり、クマモンやフナッシーは人気者で地方復興に一役買っている。大人にも楽しい田園の稔りを思う句で微笑ましい。
今昔の変わらぬもへじ里案山子
おに
案山子の顔がへのへのもへじなのは何時の時代か分りませんが昔の人は良く考えたものです。それが今の時代に伝わるのも感慨深いと思う句でもあります。
紅引ひてへのへのもへじ案山子かな
ゆたか
今風の案山子は男も女もありますが昔は男で弓を持つのが定番であった、口紅の案山子やドレスを着たのも子供達に人気があるのかも知れない。少し艶冶の句です。
沖縄に案山子は無けり砂糖黍
マシー
作者の話に拠ると沖縄には案山子は無いそうで、本土の文化かも知れないが今ではネットで調べるとある。そもそも案山子は人形姿でなくも臭いのする物やボロ着れでも良かった。勉強になった句です。