2015年5月の句
柏餅
柏餅湯気の向ふに母の顔
鬼
柏餅を蒸している景かも、子供にとって母が元気に台所で食事の支度などしているのは何よりの安心でもある、今は共働きなどで子を保育園にあずけたりするが、幼い頃は母と一緒が良いとも思う。湯気の中に母の笑顔が在るのが子にも幸せの一時、微笑ましく故郷の頃が懐かしい句です。
柏餅食べては思ふ幼き日
ヒ ロ
柏餅は1750年の江戸時代に普及したと言われ、粳の粉を練って中に餡を入れ柏の葉に包み蒸す。柏の木は古来から神が宿るとされ、また枯葉も新葉が出てから落ちるので子孫を繋ぐ縁起も込められ端午の節句に相応しいとされた。その柏餅を食べると父母や故郷や子の日が懐かしい、単純な詠ながら諸々の思いを込めた句です。
初孫に今だ会えぬや柏餅
アオ
現代は子供の減少で学校の統廃合や子供の声を騒音などと言う時代になりましたが、難しい理屈は抜きにして自然の摂理に従い、祖父母、父母、子、孫と代々を繋ぐのが一番良い。老いて孫の顔を見れないのも哀しい。切実な句でもあります。
だめな俺母が励ます柏餅
コバ
句の作者の母はご存命なのか、或は亡くなられたのか、何れにしても何か事有る度に母が励ましてくれてた、柏餅を食べるとその日の母を思い出す。自分の老いと共に懐かしく切々とした句。
いつの日か母に褒められ柏餅
クニオ
子供も大人も褒められることは嬉しい、まして母に褒められると元気も出る、褒められたのは子の日かそれとも今の希望かも。私も名の有る会社に就職した時は母が涙して喜んだものです。人生一度は父母を喜ばせたいもの、懐かしい句です。
アルバムの思い出覗く柏餅
ユタカ
アルバムほど思い出の詰まったものは他には無い、卒業写真などは老いて見ると実に懐かしい。 今はビデオなどありますが一枚の写真があれば記憶の扉が開いて懐かしい、また俳句も一句あればその時の思いを込められます。
柏餅あなたと食べたい頬よせて
レイコ
柏餅は古来は端午の節句の祝いでもあったが、今では地方の土産に笹粽などと共に売られる、旅などで山河を見ながら恋人と子供に還って食べるのも楽しい。微笑ましい句です。「桜餅」の方が良いかも。
姑の手作り美味し柏餅
オノ
昔から姑と嫁は何かと仲が悪いこともあるが、お互いに認め合って仲の良い家庭もあるし、現代では別居が多いのでたまに姑の手作りの物を食べると味の付け方にも感心する。こうして睦まじ老若の家庭は子供達にも笑顔がある。微笑ましい句です。
囚われの我が身を歎く今朝の春
ショウイチ
俳句で今朝の春は正月のことで本来は目出たい意でありますが、囚われの身では哀しい。人間は霊長類と言われその文明科学も素晴しいが反面に罪悪もまた限り無く苦しみも多い。人間とは何かと思いまた哀れの句でもあります。
早乙女の土手に車座柏餅
アベ
今では田植えも機械でするので滅多に早乙女も見れないが、私の里などでは観光の花田植えや高校生の田植えもあり昔を伝えている。又昔は田植え餅や柏餅も三時のおやつにした。懐かしい句で田植えを手伝ったことを思い出します。