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俳句集

2019年3月の句

菜の花

選者 桐本石見

古里の菜の花畑母はなき

しま

句の作者の故郷は何処だろうか、昔はどこの農家でも菜の花畑があって、三月にもなると如何にも春を思う黄色の花が咲いた。また集落共同で油を採るための焼き畑農業もあり、菜の花が咲くと壮観でもあった。その故郷に、もう母は亡い。菜の花の明るさに比べてしみじみした句で、私も故郷が懐かしい。

何気なく花菜見てゐて微笑みぬ

オノ

人の心は字の様に水に浮く小舟の様でもあり、感情とも言うが、色彩にも心が動く。空の青、草木の緑などには安らぎ、黒や血などにはおののく。畑や堤防などに咲く菜の花をしばし眺めていると、心安らぎ我ながら微笑む。日常のことながら、人間も含め大自然の不思議と摂理を思う句です。

広々と菜の花畑君探す

アオ

この畑は何処だろうか、今では観光用に菜の花、向日葵、コスモスなど広い畑に咲かせる。農業としては北海道、青森県が名高いが、近くの観光用はマザー牧場などかも。その広い菜の花畑で、たはむれに隠れん坊などして遊ぶのも楽しい。私にも『桑の実を食べて葉隠れ初恋も』があり、学生の頃が懐かしい句です。

利根堤風と菜の花ダンスして

れいこ

利根川の佐原辺りの堤防には所々に菜の花が咲いて美しい、ことに風に揺れる様は黄色の波の様でもあり、個々にはダンスを踊る様でもある。近くに公園もあり、しばらくを眺め童心に還るのも良い。

山肌は花菜一色マザー牧場

みく

マザー牧場は一九六二年、東京タワーの設立者でもある前田久吉氏により千葉県富津市に開園。今では牧場や花の公園としても親しまれている。ことに動物に触れあえるのも人気の一つ。また四季の花も多く、県花の菜の花は山肌を染めて美しい。旅の 思いの句。

菜の花や何を負いゆく遍路達

遍路と言えば四国八十八ヶ所で秩父、坂東、西国は札所巡りと言う。空海の修行地を辿るもので今は観光化もしたが、昔は死を覚悟した行と言う。それは修験者の他に病気平癒、貧困や刑罰の逃れなど暗い面が多い者の遍路でもあった。旅の荷だけでなく諸々の人生も負う遍路達でもある。それを菜の花が癒す句。

野に出れば人みな優し花菜かな

みく

万物の霊長と言はれる人間は他の動物より何百倍も賢い訳ですが、反面心は複雑怪奇でもあり、常に仏教で言う五欲に悩まされ安寧を求める。街に公園などあるのもそのための一つ。また野に散歩などして菜の花や菫、土筆など見ると心も安らぎ人へも優しくなる、日常のことながらしみじみした句です。

菜の花や子の日懐かし大多喜城

ヤヨイ

大多喜城は千葉県大多喜町にあり、今から五百年前真里谷氏が築城、江戸時代は徳川四天王の本多氏の居城で名高い。里見氏など七氏も交代したので寂れたが、昭和五十年に再建され、この町の観光名所の一つ。桜、紅葉祭など賑わうし、夷隅川、養老川も名高の景観も良い。里を懐かしむ句で私も尋ねて懐かしい。

日も月も色は菜の花安房の国

ユタカ

神武天皇の御代に阿波国の天冨命が忌部氏らと東国の良い地を求めて布良の浜に来航、故郷の阿波を安房に代えて住んだので今もこの名がある。安房は里見八犬伝などでも名高いが、風光明媚で温暖な地。「菜の花や月は東に日は西に」蕪村の句なども思う旅の明るい句です。

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