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俳句集

2018年9月の句

稲刈り

選者 桐本石見

利根の田の黄なの広がる稲刈り日

くま

利根川は群馬県大水上山に源流を発し、銚子河口までの約三百二十キロの間の流域に約三千九百平方キロの田畑があると言われる。能登の千枚田や山国の田の稲の稔りも美しいが、この利根沿いの広い田の黄色の稲穂の波は格別で、晴れた日には心豊かになり、稲刈りの秋を思う句です。

稲刈りの一族総出も昔かな

じじい

稲作は縄文時代後半から現代まで続いて、明治の後半まで鎌で刈り取る苦労の作業でした。三河の刀鍛冶の山下つね吉氏が初めて動力式の稲刈機を考案、その後久保田鉄工(株)などが外国の機械を参考にして、今のコンバインに改良したと伝わる。戦後の暫くまでは家族や集落共同で田植や稲刈りをしたのが懐かしい句です。

夜の校舎生徒まばらに虫の声

ゆたか

最近では夜学や通信制で学ぶ人も多い。この詠の学校は田舎町の学校かも、昼間に見る校舎は生徒も多く賑やかだが、暮れると主な校舎や事務所のみ灯りがあるし、生徒も少なくがらんとする。如何にも田舎町の夜間学校を思う句です。

軍手して稲を刈る祖父なつかしき

めい

軍手は江戸時代末期鉄砲を素手で触ると錆びるので使われたのが始まりで、明治時代に軍用として広がり、そのために軍手と名が付いたとも。今では各種のゴム製手袋があるが、一般の作業は軍手が使われる。その軍手に稲刈りの祖父を懐かしむ。

陽の恵みたわわに稔る稲田かな

れいこ

植物の芽が出る条件に、温度、水、酸素があり、温度は太陽、酸素は空気でもあります。五月の田植から九月の稲刈りまで、その三要素や肥料、人の世話などで稲も育つ。また人の世界も諸々の援け合いにあるを思う句でもあります。

晴天や嫁ぎ初めて稲を刈る

めーてる

今では鎌での稲刈りは少ないが、この詠は作者の若い頃のか、または稲刈機か。最近は農村へ嫁ぐ方が少なくテレビなどでも募ってもいる。都会から嫁いだのか、夫の実家が農家なのか、初めての稲刈りに緊張もするが、家族が揃い楽しく明るい句です。

敬老の日なれど我は稲を刈る

あべ

敬老の日は九月第三月曜日だが、それでも晴天なので稲を刈ると言うのも俳諧の句で面白い。敬老の日は昭和二十二年の兵庫県野谷村の敬老会が始まりと言われ、養老の滝伝説に因み九月十五日であったが、今の様になった。

稲刈るや心の病ひ治るごと

ひろ

病気には身体と心の病があり、身体には手術や薬も多くあるが、心の方はなかなか難しい。都会の生活に疲れて農家をやる人も多く、耕し、種から何かを育てると、そこに自然の偉大さも学び心も癒される。懸命に稲を刈り病の回復も思う切々とした句。

稲刈るや案山子誠におご苦労

なん

案山子は、昔は嗅しで動物の腐乱して匂う物であったとも。その内に人形や音の出る物など各種出来たが、効果は今一なれど農村の風物詩で呪いの様な物。今では案山子祭などある。稲刈りで役目も終わり、お礼を申し上げるのも俳諧です。

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