2021年 3月の句
雛祭り
雛祭り嫁ぐ最後の娘なり
シゲ
雛祭は平安時代に貴族の子女の遊びや穢(けが)れを形代(かたしろ)として川などに流したのが始まりで、江戸時代今の様に煌(きら)びやかになった。何人かの娘さんがおられたのか、その最後の娘も嫁ぐ親として嬉しさ寂しさの交じる雛祭でもある。父親として切々の句。
雛飾る嫁に行く日をいま願ふ
アッチャン
現代は結婚観も多様化したが、本来は大自然の中の営みで億年も続くもの。人間故に特別な思いはあるが嫁ぐ願いも切実で愛おしい。雛飾りの様に多くの調度品と共に嫁ぐのも女性の夢の句であります。
雛人形私に似てる双子かな
ミニー
雛人形が今の様になったのは江戸時代と言われ庶民にも広がる。室町、寛永、元禄、享保雛や京雛など時代や製作地名を冠るのがあり夫々に美しい。その雛に似ると言うのも哀憐の句で憧れでもある、どの雛に似ているのだろうか。
孫はやも嫁ぎて三月雛祭り
アベ
雛祭を迎えると三月前に嫁いだ孫娘を思う、どれかの雛様に似たお孫さんかも。原句は妹さんだが、句の作者の年齢かして孫さんが適切と思います。老いた身には少し寂しく思う句。
変り雛今年は誰に輝くか
オノ
変り雛はこの一年近くにテレビなどで話題の政治、芸能、スポーツ選手などを言い羽子板などにも作られる。また髪形や服装も現代を思うのを着る。面白い句。
お雛様真壁の里の風物詩
ヒロ
真壁町の雛祭は平成十五年町の復興の一つに始まり今では百六十軒が参加、十万人もの賑わいと言う。また旧い街並や近くに城址も発掘され真壁氏の昔を偲べる。「真壁町戸口戸口の雛明り」が私にあり懐かしい。
絵本持ち膝に来る児や雛祭り
コン
絵本にも雛祭があるのか、まだ字も読めないので親の膝に来て説明をねだる。幼子は可愛い女の子であろう、微笑ましい情景の句です。
いつの日かお内裏様になりたいね
とら丸
内裏は天皇の日常の生活の間の事でもあるが、男雛女雛の事にも言い、親王、内裏雛でもある。それになりたいと言うのは俳諧の夢の面白い句。
幼な児に恋のめばえを夫婦雛
ユタカ
雛飾りには天皇、皇后様の婚儀に似た親王雛、内裏雛を上段に飾るが女の児には自分が嫁ぐ日の夢でもあり誰を好きになるかのロマンでもある。微笑ましい句。