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俳句集

2021年 2月の句

節分

選者 桐本石見

年の豆身内の鬼も老いにけり

あべ

立春の前日が節分で鬼の目を摩滅する意味から豆撒きをする、平安時代中国から伝わり江戸の頃今の様になったとも。また鬼は外見も恐ろしいが実は人の心でもあり疫病などにも言う。若い頃の悪たれも老いて好々爺になった、俳諧の哀れの句。

節分や増えゆくばかり豆の数

チャコ

節分に撒いた豆を拾い歳の数ほど食べると幸福になる謂れがある。しかし子供の頃は良いが歳を重ねると難しい、齢には幸せもあるがこの詠は少しの哀れも思う句です。

春の灯や緩むことなき鉄格子

ゆたか

鉄格子と言えば、猛獣の檻や刑務所を想いますが春の灯の艶冶と比べて寒さ冷たさを思し、動物園の檻も動物には刑務所と同じかも知れない。自由と言う幸せをつくづく思う句でもあります。

春間近いまだに去らぬコロナ鬼

アオ

昨年からのコロナ禍は未だ治まらず世界の恐怖の疫害でもある、コロナ鬼と言うのも頷けるが春と共に摩滅して欲しい鬼で鬼滅のワクチンを望む句。

豆撒きや投げる事より食べる事

イソオ

子供や若い頃は豆を食べることも楽しく自分の年より多く食べもした。また田舎では近所にはばかることなく大声で豆撒きもしたのが懐かしい句でもあります。

懐かしや子供心に恵方巻

のん

大阪で丸かじり寿司があることからセブンイレブンの担当者が一九八九年頃商品名を恵方巻とし全国的に広めたと言う。その商魂もさることながら私にも大阪は懐かしく句の作者の子の日も偲ぶ句。

豆撒くやマスク掛けたる鬼どもへ

ヒロ

今年もまだコロナ禍が去らず何処へ行ってもマスク姿で哀しいが鬼もマスクと言うのは面白い俳諧の句。鬼は疫病や地震豪雨などまた人の罪にも言う。

あべ

春は暖かい日ばかりでなく思いかけず寒い日もあり二人で寄り添えば温かい、若い日の思い出かも。私にも青春の日が懐かしい句。

年の豆撒きし数だけ福来たれ

みく

節分の豆は沢山撒くので少し欲張りの様でもありますが、それ程に幸せを強く願う思いの詠でもあり、また世には幸せばかりでなく苦労や災害など多いのが現実で年を重ねて安寧を願う句でもあります。

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