2021年 1月の句
雪景色
亡き父の故郷懐かし雪景色
みく
この鹿島神栖地方では雪が少ないが、時折に積もる雪に亡父の故郷を思い出す。山国か海か島かも。雪の白さにメルヘンの山河を想い、齢を重ねると人は余計に故郷が懐かしく、子の日を思う句。
雪達磨共に眺むる雪景色
くま
雪が降ると学校や家でも何故か雪達磨を作る。大昔の子供達も作ったのだろうか。生まれた雪達磨と共に山や野の木や竹に積もった雪景色を眺めるのも、達磨への哀憐の面白い句です。
冠雪の男体女体筑波山
ゆたか
筑波山は男体山と女体山の二峰からなり、紫峰とも言われ、古来から歌垣の山としても名高い。その筑波に雪が積もり、遠くから眺めるのも美しく男体、女体山と言うのも艶冶(えんや)を誘い、歌垣の山に相応しい句。
るみの家窓を開ければ雪景色
ミニー
この神栖では二月も遅く雪が降ることが多い。前日晴れた翌朝に雪野原を見るのは驚く、しかし稀の雪に清々しい思いにもなる。雪国とは異なる思いの句
バスクリン湯舟の色も年新た
克明
バスクリンには薄い緑、青、黄、桃色などや温泉の効能を加えた物などある。何時もと違う色に初風呂も新年の思いがする。身近で実感の句。
托鉢の僧の一人も雪景色
あべ
托鉢は僧の修行の一つで月に一度くらい行う。京都などで多いが、今では托鉢が修行かの疑問もある。しかし雪中を行く僧には孤高を思う句。
北国へ記す返信雪景色
シゲ
外の雪景色に父母か友人へ返信を書く。その北国と言えば北海道や青森秋田など思い、鹿島などと比べ様もない深雪。今はメールが多いが手紙は心温もる。
混浴の猿か湯舟の雪景色
ひろ
長野県山ノ内町の地獄谷温泉では野猿が温泉に入る姿が報道される。昭和34年頃に子猿が入ったのが始めで、今では観光の一つ。猿の混浴も面白い句。
遠富士の八面玲瓏雪景色
スオウ
富士山は世界遺産になり、三保の松原からの眺めが一番美しいと言われる。玲瓏(れいろう)は美しい意味でもあり、雪の富士の形容に相応しい。