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俳句集

2018年7月の句

西瓜

選者 桐本石見

ポンポンと叩き西瓜の品定め

みく

西瓜の原産地はアフリカのサバンナアヤ砂漠地帯で、日本には中国を経て室町時代に伝わったと言い、西から来た瓜なので西瓜の名が付いたとも。その頃は丸く黒色であったが、昭和の初め頃に改良されて縞のある今の西瓜になったとされる。農家の人は熟れ頃を見極めるのも確かだが、私達はそれでも店で叩いて買う。子供の頃、西瓜採りに行ったのが懐かしい句です。

友来たり何も無けれど西瓜割る

あべ

今はスマホの時代なので事前の連絡が多いが、それでも突然の友の来訪に西瓜を切って出したのだ。友人だけに角ばることもなく、日頃の話をする。都会では縁側のある家も少ないが、田舎では農家を含め縁側で涼をとりながらの持て成しも多い。

友逝けり今宵も仰ぐ天の川

ゆたか

天の川は夏秋の頃見えるので彦星織姫伝説の七夕や、仙台、平塚の七夕祭などが名高い。この詠はその天の川を仰ぎながら友人の死を悼む句で、「今宵も」に切々の思いがあります。私にも「妻いまは空の織姫星祭」があり、天の川を眺めると懐かしい。

大盆に三角赤き西瓜かな

ゆーみん

西瓜には黄色と赤があり、外皮が黒く中実の黄色はお月様、赤は祭りばやし、などの名もあります。家族か来客か大きな盆に数多く切って、持て成した景を彷彿して明るい句です。

懐かしや子の日に還る西瓜割り

マコ

海水浴やキャンプ、家族の遊びの一つで西瓜割りがあり、割れても失敗でも子供達の歓声で賑わう。一九九一年にJAが距離約九米棒の長さ一、二米など規定を定め大会もあるとか。また中国の三国志の頃戦の前に生き埋めした人を棒で叩き殺したのを、諸葛亮が人命を思い西瓜で代用したとも。海運、漁業の人が無事を祈願する行事とも、今は遊びだが深い歴史の謂れもあります。

縁側で西瓜の種を飛ばしっこ

ピノコ

西瓜を食べたながら種を飛ばすのも遊びで懐かしい。今では観光を兼ねて、サクランボ、梅などの大会もある。因みに、西瓜は9米、サクランボは13米、梅は22米が記録だとか。また縁側は田舎で物干しや近所付き合いの社交場でもあった。

めんこいよ西瓜頬張るわらしかな

田野

「わらし」は座敷わらしのことか、夜など出てきて悪戯をしたりする岩手県などの民間信仰の子供の精霊。座敷童子とも言い、棲むと家が栄え、居なくなると貧乏になるとも。この詠はそうした想いで今の子供を思う句で、めんこいは可愛いのこと。

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