2013年12月の句
年の暮
年の瀬や母待つ子等に詫びる日々
サユリ
童謡にもあと幾つ寝るとお正月がありますが、子供達には今でも正月近くなると心躍る、祖父母に合ったり家族の旅もあるしお年玉を貰えるのも待ち遠しい。そうした願いを叶えてやれないのは親として一番に哀しい。平凡ながらも親子で暮らすのが幸せと思う。切々とした句です。
年の暮訛り聞きたし上野駅
アベ
戦後しばらくは東北方面への始発は上野駅で歌謡にもある様に年末などには故郷を指して旅立った。顔見知りの秋田青森弁も聞けたし、団塊の世代の集団就職の出発点でもある。私も五十年前を偲ぶ句。
生家見て我が身の哀し年の暮
カート
幕末の頃、現山口県の僧月性の漢詩に「男児立志出郷関、、、」がありますが、男として故郷を出たからには錦を飾りたい、しかしそうでない場合は幼い日の夢と比較して切ない。年の暮に友人等に合うにしても尚更哀れに思う、実感のしみじみした句です。
老いてなほ尽きぬ煩悩除夜の鐘
ヤマ
人には百八の煩悩があると云われるが、仏界には八万四千もあるとも。年を重ね人生を学べば煩悩も捨て悟りの境地に至りたいが難しい、除夜の鐘を聞いても尚苦悩する、俳諧の句です。
故郷に似たる空だよ年の暮
コバ
句の作者の故郷は何処だろうか、盆正月には帰省ラッシュが始まり人は故郷を目指す。束の間の故郷の空や山河に心を温める。帰れない人は故郷に似たこの地の空を眺め郷を懐かしむ。しみじみした句で私も故郷を離れて久しい。
年の暮背中の荷物置いて飲む
ユキ
年の市にでも買出しに行った帰りの母を思い出す様な詠ですが、何か重たい荷物でも背負っての帰りかも。途中で荷物を下ろし、水でも飲む、年の暮だけにいろいろ想像もし里の道など懐かしい句です。
大掃除済ませたる部屋年迎ふ
チーナ
年の暮には何処の家や会社でも掃除をし飾りつけなどをして新年を迎えるが、ことに自分の部屋は綺麗にする。それによって来年への心構えも決まる実感の句です。
年の暮いつまで着れる派手な服
ジュリー
年の暮に新年に着る服を買いに街へ行く、また年を重ねる自分には派手な服は着れないかとも思う、派手な服を着るのも若さであるから年を重ねるのが怖い。女性らしい思いの句です。
年の暮今年もまたも一人かな
ソラ
人間は難しい動物で大勢でも居ると一人が良いと思い、一人だとだと寂しい。若い時は恋をし老いても助け合いながら過せたら幸せと思う。正月などは家族と祝うのが望ましい。切たる句です。
年の暮年の暮れとて暮れにけり
コジ
原句は少し変えましたがこれで言葉遊びにならず今年もいよいよ終る感慨の句になります。日常の細かい事でも詠む時に心を込めれば感動の句になります。
お歳暮や顔を想ひつ品選び
オノ
歳暮は世話になった人や会社などに今年の礼と来年の願いも込めて贈るが里の祖父母などにもする、あの人には、祖父母にはと顔を思い浮べながら品選びをする。微笑ましく実感の句です。